仕事や学校を休みたいと思ったときのマインドフルネスな準備

パフォーマンス向上

スッキリしない朝、仕事や学校に行きたくないな。と感じることは日常的に誰もが経験することです。

前日の仕事でのミス、友人との喧嘩、当日の仕事のプレッシャーや、気の合わない上司や同僚。さまざまな要因が朝の気分を落ち込ませることがあります。

厚生労働省の発表によると、令和3年の調査において仕事や職場に対して強いストレスや不安を感じている労働者の割合は53.5%であり、2人に1人はストレスフルな環境で仕事をしている状況です。【参考】令和3年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況

この結果は令和3年に限らず、長年にわたり半数を超えています。【参考】労働時間やメンタルヘルス対策等の状況

原因としては「仕事の量」、「仕事の質」に次いで「対人関係」や「仕事の失敗、責任の発生等」が多くなっています。

こうしたストレスが、仕事中だけでなく仕事から離れてからも心と身体に悪い影響を及ぼしています。

でも考えてみてください。それは、全て過去や未来の出来事で脳が勝手に考えているイメージでしかありません。

「今に意識を向ける」だけで自然とそれらのネガティブな感情は消えていきます

ただ、頭では分かるけど「今に意識を向ける」と言われてもどうやればいいか分からないというのが、率直な考えだと思います。

瞑想や運動といった方法もありますが、朝にそんな時間はない。といった人にオススメなのがマインドフルネス準備です。

朝の準備をしながらネガティブな感情を払拭し、一日を気持ちよく始められる方法を紹介します。

瞑想でマインドフルネスな時間を過ごす効果や方法については【参考】疲労に強い脳を作るマインドフルネス瞑想法のやり方や、【参考】忙しい人のためのマインドフルネス瞑想法のやり方と効果を参考にしてください。

無意識な行動は不安を生む

人間は元来ネガティブな生き物です。

これは遺伝子に刻まれた逃れようのない事実で、遥か昔、肉食動物に怯えて暮らしていた猿の時代までさかのぼります。

ガサガサ葉っぱの音がすれば「そこには肉食動物がいるかもしれない。」と思い、水面が揺れれば「何かが飛び出してくるのでないか。」と不安を持ち、危険を予測できた種が生き残ってきました。

木の上まで登ってきて命を脅かす存在はヘビだけだったといいますが、地面に落ちているロープをヘビと勘違いして、反射的に飛び跳ねて身構えるのもその頃からの名残です。

その遺伝子を受け継ぐ我々が、そこまでの命の危険がなくなった現代においても、いまだに漠然とした不安を感じるのも仕方がないことです。

無意識に過ごしていれば、次々と不安や心配事などのネガティブな感情は襲ってくるのです。

朝の時間をイメージしてみてください。起きてから家を出るまで、これまで毎日同じことを繰り返してきたため、体は無意識に動いているのではないでしょうか。

朝の準備をしながらも意識は常に、過去と未来にあるので、結果的にネガティブになってしまうのです。

ネガティブなイメージはIQを下げる

ネガティブな感情は心だけでなく、脳にも悪いことを示した研究があります。

ペンシルベニア州立大学の研究で、人間は「ストレスフルな事態が起きそう」とネガティブな予想をするだけで、脳のワーキングメモリーが機能低下することが分かっています。

実際にその事態は起きていないのにもかかわらず、脳の働きが悪くなり、IQの低下を招いてしまいます。

無意識に動いていると、ネガティブな感情が生まれ、脳の機能が低下し、IQが低下するという一日のパフォーマンスに大きな悪影響を及ぼします。

マインドフルネスな準備

朝起きてすることと言えば、順番はさておき以下のようなことでしょう。

  • トイレに行く。
  • 顔を洗う。
  • 歯を磨く。
  • 服を着替える。
  • 朝食をとる。

マインドフルネス準備は、こうした朝のやらなければならいことの中に取り入れられ、その他のどんな準備の中でも行うことが出来ます。

行動一つ一つに意識を向けることで、今に意識を向けるようにしてきます。

気持ちのいい朝

マインドフルネスなトイレ

朝のトイレを例にとります。

多くの人が起きてはじめに行うであろうトイレ。毎日当たり前に行うことなので、意識しなくても勝手に用は済んでしまいます。

その間は、ぼーっとしながら昨日起きたことや、これからのことを無意識に考えているのでしょう。

そこで、トイレで行う動作を分けて考えてみます。

  • トイレのノブに手をそえる。
  • ノブを回す。
  • ドアを開けながら体を横にずらす。
  • 内側のノブに手をそえる。
  • トイレの中に入る。
  • ドアを閉める。
  • 前かがみになってトレイの蓋に手をそえる。
  • トイレの蓋を開ける。


などなど・・・。

座る前にこれだけの動作をしています。その一つ一つに意識を向ける。何なら声に出してつぶやいてみる。

たったこれだけのことで、今という瞬間瞬間に意識が向くのです。

何度もやり直している動作

「そうは言っても忙しい朝の時間にそんな事していたら遅れてしまう。」との意見も出そうです。

実はマインドフルネスな準備をしてみると、気がつくことがあります。

動作の中で、何度もミスをして、何度もやり直しているということを。

試しに、今着ている上着を抜いて、もう一度着てみてください。

シャツを着替えるときの動作

もしボタン付の長袖シャツであれば、こんなやり直しがあったのではないでしょうか。

  • ボタンを外すとき、つける時に何度もやり直す。
  • 袖を一回でつかめず、つかみ直す。
  • 脱いだ後に襟付近をつかみ損ねる。
  • 片方の腕を通した後、もう一方の腕が引っかかる。

意識したからこそ気づけたものの、無意識下では実はとても多くの小さなミスややり直しが起きています。

無意識下での行動は、ネガティブな思考を生むだけでなく、実は時間も浪費しているのです。

結果的に早くなる

レスキュー隊の活動

火災現場で働く消防官の友人に聞いた話です。

その友人は、消防官の中でも更に技術と体力が必要とされるレスキュー隊員です。

レスキュー隊には年に1回行われるレスキュー大会という大会がありあます。4〜5人のチームで、ロープを渡って要救助者を救出する種目や、壁を乗り越えたり煙道と呼ばれる暗くて狭いトンネルを通過したりしてタイムを競う種目などがあるそうです。

正確な技術と、素早い動作が求められるかなりシビアな大会で、ロープをつかみ損ねたり、カラビナを外し損ねたりするミス1つが、大きな命取りになるそうです。

彼は、訓練を始めた当初、考えなくても体が動くように、動作を体に覚え込ませることを意識して訓練していたそうですが、大会本番では緊張のせいでなかなかいい結果が出ませんでした。

そこで、行動を一つ一つ細分化し、ロープをつかむ動作、カラビナをかける動作をしっかり目で見て、一発でミスなく動けるように意識を変えて訓練をしました。

まさにマインドフルネスな行動です。

結果的に大幅にミスが減り、タイムも縮まり、大会本番も緊張することなく挑めるようになったと言います。

この例は、マインドフルネスな行動をすることで、集中力も高まり、かかる時間も短くなるという効果を表しています。

朝の準備を通して今に意識を向けることは、集中力を高め、不安を解消し、準備の時間も早くなるということを示すいい例だと思います。

行動を細分化しよく見る

レスキュー隊員の友人の例で示したとおり、意識を向けるにはポイントがあります。

1.できる限り行動を細分化する。

2.とにかく目でよく見る。穴が空くほどに。

たったこの2つのことを実践するだけで、マインドフルネスな行動ができます。

まとめ

無意識な行動は、脳が不安や心配事を作り出す余地を与えます。気づかない中でミスが発生し、時間を浪費します。

一つ一つの行動に意識を向け、マインドフルネスな時間を過ごすことで、脳がネガティブな思考を生み出す機会をなくし、時間を効率的に使えます。

マインドフルネスな時間は、過去や未来にとらわれず、今この瞬間を生きている時間です。

今があることに感謝し、幸福感を得ることに繋がります。

誰にでも平等に与えられた朝の時間を、ネガティブな感情で過ごすか、幸福感の中で過ごすかは意識一つで変えられます。

実践してみるとすぐに効果が実感できるので、ぜひ毎朝の準備にマインドフルネスな時間を取り入れてみてください。

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