小さなお子さんを持つ親にとって、幼児教育は大きな課題です。
0歳からの幼児教育や、英語教室、通信教育などに恵まれた現代において、「早くから習い事をさせなければ。」「○○ちゃんもやってるからやらせなければ、周りから遅れをとってしまうのでは。」と考えるのは、子供を大切に考えているからこその親の悩みでもあります。
今回はそんな悩みを持つ多くの親に向けて、『将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる! 松永暢史』を読んで得た学びを紹介します。
筆者は、たくさん本を読むだけでいいと、断言しています。
その理由は、日本語了解能力が学習におけるすべての土台となるからです。
読書や読み聞かせにより伸ばせる能力とその必要性、またどう取り組めばいいかについて解説します。
読み終えた私の変化
- 日本語了解能力の重要性を理解した
- 読み聞かせの時間を作った
- 一音一音はっきり読みを取り入れた
日本語了解能力の向上
本書に登場する日本語了解能力とは、日本語を使って物事を理解したり表現したりする力のことで、日本人が物事を論理的に考えるための基礎となります。
日本の母国語は、当然のことながら日本語であり、私達日本人は日本語を母語として思考を組み立てます。
母国語と母語は若干意味が違い、母語とは個人的に最初に習得する言語のことで、その個人の思考は一生を通して母語を基礎に行われます。
因みにこの言葉により思考が構築されるという考えを逆手にとったディストピアSF小説で【参考】全体主義化していく世界への警鐘【1984年 ジョージ・オーウェル】は非常に面白くてオススメです。
早すぎる英語の幼児教育を否定する考えの一つとして、この母語の形成に支障があるというものが理由として挙げられます。
つまり日本人であれば母語となる日本語を元に、国語に限らず算数、理科、社会、そして英語を学んでいくのであり、日本語を理解し表現する日本語了解能力がとても大切だということです。
教科書も、受験の問題も、あらゆるものが日本語で書かれており、その内容を理解するためにも、把握するためにも、日本語了解能力が高いほうがいいことは理解できると思います。
そして、その日本語了解能力を向上させる一番の方法が読書なのです。
著者はたくさんの本を読ませて、日本語了解能力さえ向上させておけば、本格的な英語や、その他の学習も、10歳くらいから始めればいいと言っています。
読書により向上させた日本語了解能力は、ゆくゆくは算数で構築されていく論理的思考力の基礎となっていきます。
読み聞かせの時間を作る
読書が日本語了解能力の向上に効果があるとして、どうやって読書を習慣化すればいいのでしょう。
その読書の入口となるのが読み聞かせです。
子供にとって本を読むとは、読み聞かせることから始まります。
まだ、言葉が理解できないうちからどんどん読み聞かせてあげることが大切なようです。
読むことと、聞くことは、別の脳が刺激されるため、聞かせるだけで十分効果があるのです。
私がこの本を読んだときは、2人の子供のうち1人が幼稚園児で下の子は1、2歳だったので、まだ読書という習慣がしっかりついておらず、時間を決めて20時30分からは読み聞かせの時間として、寝る前の習慣化に取り組みました。
子供が読み聞かせを通して言葉を覚えていくことを実感したり、親子で一つの本を通して繋がりを感じられる幸せな時間でした。
読み始めて子供がすぐに寝てしまったり、私自身が寝てしまったりしたことはいい思い出で、今では2人共小学生となり、読書が完全な習慣となりました。
20時から21時は、家族4人全員で読書をする時間です。
時間を設定することで、夜の生活にもリズムができ、読み聞かせを入り口として、読書が習慣化されたいい成功例だと我ながら思います。
ただ中には読書にお金がかかることを懸念する人もいるかもしれません。
これについては、中室牧子著「学力の経済学」という本の中で、子供に対する正しい教育投資は、かなり高い収益率が期待できると紹介されています。【参考】統計的な幼児教育の一つの答え【学力の経済学 中室牧子】
IQが高く、裕福なイメージの強いユダヤ人も、子供のころから読書をさせる習慣があります。
「財産をすべて奪われても、知識までは奪えない」という言葉があるように、子供に対する教育には惜しまずお金を払います。
本は図書館でも借りられますし、出先でおもちゃやお菓子をねだられたら、本を買うことを習慣にすれば、無駄な出費も控えられ、子供に対する投資になります。
ユダヤ人の精神を見習い、子供の知育教育には、お金を惜しまないようにしたいものです。
一音一音はっきり読み
具体的な読書の方法として、「一音一音はっきり読み」というものを推奨しています。
文章を一字一字はっきりと発音し、ゆっくりと、音を聞かせるように読む方法です。
これにより、「は」、「が」、「に」などの助詞や、「です。」、「でした。」などの助動詞を体感的に覚えられるそうです。
日本語は、非常に難しい言語だと言われます。外国の方が、よくこの助詞、助動詞を使い間違えるのを耳にすると思いますが、一音一音読みによって、日本語了解能力は向上するのです。
また、音をはっきり聞かせることで、聴覚を刺激することができます。
聴覚とは、言葉を脳に伝える入口です。聴覚がより発達していれば、より正しく、はっきりと脳に言葉を伝えることができます。
ある研究者は、「聴覚が変われば、その人の能力が変わる」とまで言っています。
私も当初子供に、この一音一音読みを実践してみました。
小さいお子さんをお持ちの方なら経験あると思いますが、子供は読み聞かせ中に、そのページを読み終える前に次々とページをめくることが多々ありました。
なんとか話を聞かせようと、読むペースを上げてページをめくる前に読み終えようとしていましたが、おそらく、内容が分からず、退屈だったのではないかと思います。
一音一音読みをするようになってから、そのページをめくるという行為がなくなりました。
内容を理解できているためなのか、そのページに対する質問をするなど、効果の高さを実感したことを覚えています。
子供が小学生になった今も、この一音一音読みの効果の高さを実感することがあります。
算数などの文章題が分からないとき、問題をただゆっくり一音づつ読ませます。
2回、3回と読ませてみると、ただ問題を読み直しただけなのに、「あっ、分かった」と答えにたどり着くことが多々あります。
問題の意味を正しく理解するため、日本語了解能力を発揮するために効果がある方法だと思います。
読書は、将来にわたって必要とされる国語能力を向上させ、知育のための基礎となります。
ぜひ読書が好きな子供に育てたいものです。
お勧めしたい人
- 小さい子供を持つ親
- 読み聞かせをねだる小学生を持つ親
- 何を読ませればいいか分からない親
- 小さい子供を持つ親
初めて親となって、初めてする育児や知育。何から始めて、何が子供の将来に役立つのか手探り状態だと思います。
実際に取り入れてみて、小学校に上がった2人もそれなりに成果が出ているところからも、自信を持って紹介できます。
何より読書習慣を身につけるのにはかなり役に立ったと思います。
- 読み聞かせをねだる小学生を持つ親
自分で読書をするようになると、どんどん難しい本を読んでほしいと、親の欲望は高まります。
そこに「ねえ、読んで。」と本を持ってこられると、「自分で読めるでしょ。自分で読みなさい。」と言ってしまうこともあると思います。
ただ、読むことと聞くことは別の脳が刺激されることを考えれば、むしろ読み聞かせも積極的に取り入れるべきです。
何より、一緒に横になって同じ本を読むという行為は、親子にとってかけがえのない大切な時間です。
さらに成長するとおねだりはなくなり、寂しささえ感じます。
今だけの貴重な時間として大切にしてほしいと思います。
- 何を読ませればいいか分からない親
本書の最後には、読み聞かせにお勧めの本や、それぞれの年齢に適した本を紹介してくれています。
紹介されたほとんどの本を、買ったり借りたりして読みましたが、どれも子供の反応は上々でした。
読んでみて面白ければ、その作者の本をまた読んだり。読書の世界が広がると思います。
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