タンパク質の摂り方【一日の摂取量とタイミング】

トレーニング

筋力トレーニングにより筋肉を成長させるためには、トレーニングによる筋繊維の破壊と、栄養補給や睡眠による回復を繰り返し適切に行うことが重要です。

今回はその栄養補給の中でもメインとなるタンパク質について取り上げます。

一日に何からどれくらいの量のタンパク質を、どのタイミングで摂取することが効果的なのか、科学的な根拠をもとにして解説していきます。

タンパク質が必要な理由

人の体は半分以上が水分でできていますが、その水分を除くとタンパク質と脂質がほとんどを占めます。筋肉や臓器などの主成分はタンパク質です。

それならば外からタンパク質を摂取すれば、そのまま体の中のタンパク質として筋肉や臓器になってくれるのかと言えばそれほど単純ではなく、一度体内でアミノ酸に分解されてそのアミノ酸がタンパク質になるという経緯をたどります。

体を構成しているタンパク質は、常に同じ状態にはなく分解と合成を繰り返し、体内で入れ替わりが行われている状態です。これは脂質も同様なので、三大栄養素としてタンパク質と脂質、エネルギーとなる炭水化物を積極的に摂る必要があるのです。

例えば、体重60kgの成人の体内では、1日に約180gのタンパク質が分解され、アミノ酸プールに保管され、新たに180gのタンパク質を合成しています。

分解されたタンパク質がそのまま全部使えれば、体内の分解と合成だけで維持できますが、分解されたタンパク質の70gが毎日排泄されるので、70gのタンパク質は外から摂取しなければなりません。

60kgの男性のタンパク質動的平衡の図。

このタンパク質の中身が入れ替わるだけの変化のない状態を動的平衡といい、この動的平衡を保つためには毎日0.72g/体重kgのタンパク質の摂取が必要となります。

つまり、トレーニングによりさらに筋タンパク質の合成を増やすには、それ以上のタンパク質が必要になるということです。

筋肥大させるためのトレーニングについては自重系トレーニングで筋肥大させる方法を参考にしてください。

一日に必要な摂取量

トレーニングで筋タンパク質の合成を促進するのに必要とされるタンパク質の量は、一日に1.2〜2.0g/体重kgです。

上限として、一日2.4g/体重kgを超えても効果がなく、表にすると次のとおりとなります。

   体重      必要量     上限摂取量  
50kg60〜100g120g
60kg72〜120g144g
70kg84〜140g168g
一日に必要なタンパク質量

しっかり3食摂れている人にとって、それほど難しい数字ではないように見えますが、これは良質なタンパク質の量である点に注意が必要です。

そこで食材に含まれるタンパク質量とアミノ酸スコアというものについて考えていきます。

食材に含まれるタンパク質量

タンパク質の中で最もお勧めの魚

食材はグラム数そのままがタンパク質量ではないため、計算が必要です。私がよく摂る食材について参考までに表にしてみました。

ぶり(100g)21.4g納豆(1パック)6.6〜8.3g
豆乳(200cc)7.2gさつまいも(手のひらサイズ)2.8g
玄米(1杯)10g卵(1個)6.2g
鶏胸(100g)22g十割そば(100g)11.3g
鶏ささみ(100g)23gくるみ(7粒)4g
豚バラ(100g)14g豆腐(100g)6.6g
食材とタンパク質量の関係

「🔍食材 タンパク質量」と調べると出てきますので、よく食べる食材について調べてみてください。

参考に、100gあたりのたんぱく質量が食材別で分類された分かりやすいサイトを紹介します。

【参考】タンパク質の多い食品とタンパク質の含有量一覧表簡単!栄養andカロリー計算

このタンパク質量を、これからお話するアミノ酸スコアで計算したものが実際に合成に使われる良質なタンパク質量となります。

タンパク質量をアミノ酸スコアで計算

タンパク質は20種類のアミノ酸で構成されており、うち9種類は必須アミノ酸です。必須アミノ酸は体内では作ることができないため、外から摂取する必要があります。

この9種類のアミノ酸がバランスよく含まれているタンパク質が良質なタンパク質であり、そのバランスを示す数値がアミノ酸スコアです。

9種類の必須アミノ酸を9枚の板で作られた桶に例えてイメージすると分かりやすく、どれか一つの板が欠けていたり、低かったりすると水を入れても溢れてしまうように、バランスが悪いものはアミノ酸スコアが低く、最もバランスがいいものをアミノ酸スコア100として表します。

アミノ酸スコアが100であれば、摂取したタンパク質がそのまま合成に使われるのであり、100未満のものは摂取タンパク質量に掛け算をした量が使われることになります。

アミノ酸スコア100の食材

卵、肉類、魚類、牛乳、大豆、そば、玄米など、主に動物性食品が高くなっています。

アミノ酸スコア100以外の食材

白米93、さつまいも83、ごま73、食パン51、とうもろこし44など、植物性の食品です。

タンパク質を摂取するタイミング

一日に必要なタンパク質の量が分かりました。ではどのタイミングで摂取するのが効果的なのでしょうか。

減量しながら骨格筋を維持する場合、長時間の試合等の合間に取る場合など、状況によって若干の差がありますが、今回は筋力トレーニングによる筋成長を目的としてタンパク質をとる場合のタイミングについて解説します。

効果的な筋力トレーニングについては自重系トレーニングがお勧めです。ケガをしにくく、どこでもできるなどメリットが多く、初心者から上級者まで誰でも取り組めます。【参考】自重系トレーニングの効果とおすすめの種目

トレーニング前後

筋力トレーニングの様子

トレーニング直後

まずは、最も一般的なトレーニング直後のタイミングです。

メカニズムとしては、トレーニング直後はmTORという哺乳類ラパマイシン標的タンパク質の情報伝達経路が活性化し、筋たんぱく質合成が進みやすい状態です。

骨格筋でアミノ酸を細胞内に取り込む輸送体が増加し、血流量も増加しているので、できるだけ早くタンパク質を摂取したほうがタンパク質合成には効果があります。

このときの一回の摂取量として、0.25g/kgまでは合成速度が高まりますが、0.4g/kgを超えても変わりません

体重が60kgの人だと、1回の量としては15〜24gの摂取が適当で、それ以上の摂取は効果があまりないということになります。

トレーニング直前

次にトレーニング直前のタイミングです。

トレーニング前後のタンパク質摂取については、トレーニング開始1時間前の摂取は終了1時間後の摂取より合成速度が低いという研究や、トレーニング直前の摂取は終了直後より合成速度が高いという別々の研究があります。

整理するとトレーニング直前の摂取が最も合成速度が早く、次に直後、1時間後、1時間前ということになります。

これはタンパク質の吸収の度合い、トレーニングの実施時間などで変わってくので、トレーニングの直前から終了1時間までの間でトレーニングへの影響を考慮して摂取するのがいいと思います。

3回の食事のタイミング

タンパク質の1回の摂取量が、0.4g/体重Kgを超えても効果がないことから、一日に必要な2.0g/体重Kgのタンパク質を摂取するには5回に分けるのが理想的です。

タンパク質は消化吸収するのに通常3時間程度、ステーキなどの脂の多いものだと4〜5時間かかると言われます。

よほど生活が乱れている人でない限り、食事の間隔はある程度とれていると思いますので、5回のうちの3回は食事のタイミングでしっかり摂りましょう。

就寝前の摂取

5回の摂取のうち残り1回を就寝前に摂るのが一つの方法です。

入眠後3時間が成長ホルモンの分泌が活発なため、その時間に合わせて摂取するとタンパク質合成が効果的に行われます。

ただ、就寝直前の摂取は胃腸への負担となることから就寝の30分から1時間前が目安となります。

3食の間に摂取

23本の質の高い研究論文を集めたメタアナリシス解析によると、6〜21週の長期間介入実験では、トレーニングの前後1時間以内のタンパク質摂取は、重要ではなく摂取量が重要だとの結果があります。

研究には動物実験によるものや、特定の対象者に対して処置の前後を比較するものなどさまざまあり、その信頼度には差があります。

その信頼度の差を評価したものがエビデンスレベルと言われ、メタアナリシス解析とは、いくつかの研究を集めて分析するもので、エビデンスレベルが高く信頼度が非常に高い研究です。

他の研究では3時間おきにタンパク質を摂取することで、その合成速度が速まったというものがあり、これらを加味すると、3食の間に2回の摂取を加えた合計5回摂取が最も効果が高いと考えられます。

摂取タイミングのまとめ

ここまでのタンパク質摂取のタイミングをまとめると以下のとおりです。

  • トレーニング直後はタンパク質合成が進みやすい
  • トレーニング直前はトレーニング直後より効果が高い
  • 1回の摂取量は0.4g/体重Kgまでとする
  • 睡眠前の摂取はタンパク質合成に効果的
  • 5回に分けて一日の必要量を摂取する
  • 長期的にはトレーニング前後の摂取より一日の摂取量が重要
  • 3時間毎の摂取が効果的

これらの結果から、具体的な摂取のタイミングの一例を示します。

①6時に朝食、9時に摂取、12時に昼食、3時に糖質と同時に摂取してトレーニング、6時に夕食

②9時に朝食、12時に昼食、3時に糖質と同時に摂取してトレーニング、6時に夕食、9時に摂取

5回のタンパク質摂取のタイミングを決めておき、そのタイミングに合わせてトレーニングをするという方法です。

それぞれの生活スタイルで調整が必要ですが、タンパク質摂取のタイミングは決めておき、そこに合わせてトレーニングの時間をを決めるのが効果が高く、生活のリズムを作る上でもお勧めです。

タンパク質の摂取方法

3回の食事で摂取

3回の食事では、1回ごとに一日に必要なタンパク質総量の1/5を摂ることと、タンパク質の消化吸収のために栄養のバランスをとることを意識しましょう。

 体重  一日の摂取量 1回の摂取量 
  50kg  100g20g
  60kg  120g24g
  70kg  140g28g
  80kg  160g32g
1回のタンパク質摂取量

食材のタンパク質量やアミノ酸スコアを考慮して計算する必要がありますが、体重60Kg弱の私の3食の一例を参考までに載せておきます。(g数はタンパク質量を示します。)

朝食:ヘンププロテイン2杯(14g)、豆乳200ml(7.2g)、さつまいも1本(2.3g)の合計23.5g

昼食:鶏ささみ100g(23g)or鶏胸肉100g(22g)、きのこ野菜サラダ

夕食:ぶり一切れ(21.4g)、納豆(7g) の合計28.4g、酵素玄米、味噌汁

食事で摂取するタンパク質は、青魚を特にお勧めします。青魚に含まれるオメガ3系の脂肪であるDHA、EPAは筋タンパク質合成を促進するという研究があります。

島国である日本は、昔から魚を多く食べてきたことを考えると魚を消化吸収する能力が高く、欧米人を対象とした研究結果より高い効果が期待できます。

その他、脂質、糖質の三大栄養素のバランスを考えたり、カルシウムやビタミン、食物繊維などのタンパク質の吸収合成に必要な野菜を積極的に摂取したりすることが大切です。

また、腸内環境を考慮して酵素玄米や、発酵食品である味噌汁を欠かさず食べるようにしています。

カルシウムとビタミンC

カリウムとビタミンが豊富な緑黄色野菜

タンパク質が体内で合成されるにはアミノ酸が必要であり、そのアミノ酸は摂取したタンパク質から作られます。

このタンパク質からアミノ酸を生成する過程で必要となるのがカルシウムとビタミンCです。

厚生労働省が「日本人の食事摂取基準(2020年版)」で推奨している1日に必要なカルシウム量は、成人で約700〜800mg(許容上限量2500mg)、ビタミンC量は約100mg(許容上限量なし)とされています。【参考】厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」、ミネラル(多量ミネラル)ビタミン(水溶性ビタミン)

この推奨量はタンパク質の動的平衡を保つための量であり、動的平衡を破り合成量を増やすには、許容上限を超えない範囲でプラスαの摂取が必要となります。

カルシウムとビタミンCの両方を含む食材の代表は緑黄色野菜です。1日350g以上を目標に摂るようにしましょう。

カルシウムを豊富に含む他の食材としては、小魚などの魚介類、豆腐などの大豆食品、牛乳やヨーグルトなどの乳製品があります。

ただ、カルシウムを吸収するにはビタミンDも必要であり、ビタミンDはきのこや魚介類に多く含まれることから、やはり魚はかなり優秀な食材となります。

カルシウムとビタミンC、Dはできる限り3食で偏りなく摂取したいところですが、どうしても不足してしまう場合はサプリメントでとるという方法もあります。

プロテインによる摂取

プロテインを摂取する様子

5回のタンパク質摂取のうち3回は食事から、残りの2回はプロテインで摂取します。

理由は消化吸収が早く、固形の食材より胃腸への負担が少ないからです。

5回に分けて摂取する方法は、筋タンパク質合成には効果が高いですが、12時間以上にわたり胃腸が休みなく働く状態のため、できるだけその負担を減らしてあげる必要があります。

タンパク質は胃で消化され、十二指腸でさらに細かく消化されてアミノ酸になり、小腸で吸収されます。

液状のプロテインは胃と十二指腸で行われる消化がスムーズに行われて小腸に届くため、摂取後1〜2時間程度で素早く吸収されます。

こうした理由から、食事間の2回の摂取はプロテインという選択になります。

また、日本人に多いと言われる乳糖不耐性を考慮に入れると、WPC(ホエイプロテインコンセントレート)より乳糖含有量が大幅に少ないWPI(ホエイプロテインアイソレート)を選択し豆乳で飲むことをお勧めします。

さらに健康志向で徹底的にこだわりたい方は、牧草のみを食べて育った牛から摂ったグラスフェッドWPIのプレーン、無調整豆乳という選択肢があります。グラスフェッドWPIはオメガ3という脂質が含まれており、筋タンパク質合成速度を増加させます。

牛乳自体を避けたい人はヘンプシードからできたヘンププロテインもお勧めです。

糖質の同時摂取

さつまいも

糖質をとらずにトレーニングを実施した場合、筋グリコーゲン量が少ないとトレーニング中のタンパク質の分解が亢進してしまうという研究結果があります。

これは、トレーニングによるエネルギー不足を補うために、タンパク質を分解してできたアミノ酸を代謝エネルギーとして使用するためです。

糖質制限をしている人や、糖質過多にならないよう食事に気を遣い摂取量を調整している人は、トレーニング時に筋グリコーゲン量が不足している可能性があるので、トレーニング前に糖質を摂取する必要があります。

また、糖質とタンパク質を同時に摂取することで、骨格筋の筋血流量が増加してアミノ酸供給を促進し、mTORが活性化してタンパク質合成を促進するとの研究があります。

これらの理由から、プロテインと糖質を同時に摂取することでタンパク質の分解を抑制し、合成を促進することができます。このとき摂取する糖質はGI値が高いほうが合成促進の効果は高いとされています。

プロテインには糖質が添加されたものがありますが、健康志向の人はプレーンのものを選択し、GI値の高くないさつまいもやバナナを摂取するのもいいと思います。

加齢との関係

年をとると、代謝が下がり運動量も減少するので、タンパク質の摂取量も減らしていいと思うかもしれませんが、必要量は若い時と変わりません。

年齢とともにタンパク質を吸収し合成する能力が下がるためです。

つまり、若い時と同じように筋力トレーニングを続けている人が筋成長を望むのであれば、若い頃よりタンパク質を増やす必要があります。

まずは一日のタンパク質摂取量を2.0g/体重Kgとしてみて、筋成長が望ましくなければ、一日2.4g/体重Kgまで徐々に増やしてみるといいかもしれません。

他には5回を6回に分けてみるという方法も考えられます。効果を確認しながらいろいろ試してみてください。

まとめ

筋力トレーニングにより筋肉を成長させるためには、タンパク質を適切に摂取し筋繊維を回復させる必要があります。

一日のタンパク質量を把握し、筋タンパク質の合成速度が上がるよう5回に分けて摂ることが効果的です。

3回は食事から栄養素のバランスを考えて摂取し、2回はプロテインで糖質と同時に摂取します。

摂取のタイミングを先に決めておいて、トレーニングの時間を組み入れます。

これがさまざまな研究を考慮してたどり着いた、最も効果的なタンパク質の摂取方法です。

機能的な体造りのために、トレーニングと並行してタンパク質の摂取の仕方も大切にしてほしいと思います。

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