自重系トレーニングで肩の筋肉を鍛えるには、ハンドスタンドプッシュアップ(逆立ち腕立て伏せ)が最も効果的です。
肩はケガをしやすい部位の一つであり、一度ケガをすると治りも悪いため徐々に負荷を高めながら鍛えていく必要があります。
肩の痛みの多くはローテータカフ呼ばれるインナーマッスルで起こります。
ローテーターカフとは、肩甲骨と上腕骨をつないでいる筋肉の総称で棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の4つの筋肉からなります。
回旋筋腱板とも呼ばれ、上腕から先をさまざまな方向に安定して動かす役割を担っています。
段階を追って進めていくハンドスタンドプッシュアップは、インナーマッスルを鍛えながらアウターマッスルも鍛えられ、強靭で機能的な肩を手にれられます。
最終目標はワンハンドスタンドプッシュアップ(片手逆立ち腕立て伏せ)です。
ワンハンドプッシュアップ(片手腕立て伏せ)よりも更に難易度が高く、プッシュアップの種目の目安として、アンイーブンプッシュアップまで進んでから取り組むことをお勧めします。【参考】自重系トレーニング腕立て伏せのやり方
正しいフォーム
一般的なハンドスタンドプッシュアップ(逆立ち腕立て伏せ)の正しいフォームを説明します。
- 壁から約30cm離れた場所に手を置く
- 手は肩幅程度に開く
- 体を緩やかにカーブさせ壁にかかとをつける
- 頭は手より壁側に位置し、手と頭で三角形を作るようにする
- 体を下ろすときに肘は自然に、外に張り出さない
- 反動を使わない
逆立ち歩きのように、腰を極端に反って膝を曲げると腰を痛めてしまう可能性があります。
空間で行う逆立ちをイメージし、体を緩やかに反るようにします。
肘の角度は子供を抱き上げて持ち上げるときのように、外に張り出さず自然な開きを意識します。
自重系トレーニングで目的としている機能的な体造りのための不自然ではない動きです。
鍛えられる部位
ローテーターカフの4つの筋肉の他、三角筋、上腕三頭筋、僧帽筋のようなアウターマッスルが鍛えられます。
三角筋は前部、中部、後部の3つに分かれていますがその3つをまんべんなく効率的に鍛えられ、メロン肩といわれる丸くたくましい肩を手に入れられます。
ハンドスタンドプッシュアップの種目
壁に向かって逆立ちをするハンドスタンドから始めますが、難しい人は頭を床につけたヘッドバンドスタンド2分間から始めてください。
ハンドスタンド
①壁から約30cm離れた場所に、手を肩幅程度開いてつく。
②足を蹴り上げて壁にかかとをつけ、体を緩やかな弓なりに反る。
③2分間を目標に姿勢をキープする。
ハンドスタンドプッシュアップ(ハーフ)
①ハンドスタンドの姿勢をとる。
②2秒かけて始めの姿勢から頭の高さが半分の位置にくるまで肘を曲げて体を下ろし、1秒間キープする。このとき肘は自然な角度にやや開き、不自然に外に張り出さない。
③2秒かけて肘を伸ばしハンドスタンドの姿勢に戻る。
ハンドスタンドプッシュアップ
①ハンドスタンドの姿勢をとる。
②2秒かけて頭がマットに触れるギリギリの位置にくるまで肘を曲げて体を下ろし、1秒間キープする。このとき肘は自然な角度にやや開き、不自然に外に張り出さない。
③2秒かけて肘を伸ばしハンドスタンドの姿勢に戻る。
クローズドハンドスタンドプッシュアップ
①壁から約30cm離した位置に、両手の親指と人差し指が付くように近づけてハンドスタンドの姿勢をとる。
②2秒かけて体を下ろし、頭が手に触れるギリギリの位置で1秒間キープする。
③2秒かけて肘を伸ばし始めの姿勢に戻る。
アンイーブンハンドスタンドプッシュアップ
①壁から約30cm離れた位置に片手をつき、もう一方の手をプッシュアップバーの上に置く。上に置く手は高さがあるほど負荷が増す。
②2秒かけて肘を曲げ、頭が指先かマットに触れるギリギリの位置で1秒間キープする。
③下にある手を意識して2秒かけて肘を伸ばし最初に姿勢に戻る。
④もう一方の手で同様に実施する。
頭の位置を両手の中心より、下にある手に寄せるほど負荷が増します。この先のワンハンドプッシュアップに進むには、体を下ろしたときに頭が下にある手に触れるような位置で実施できるよう、段階的に片手に体重を載せていく必要があります。
ワンハンドスタンドプッシュアップ(ハーフ)
①壁から約30cm離れた位置に片手をつき足を蹴り上げてハンドスタンドの姿勢をとる。頭を手の真上にしたり、足の位置を左右にずらすなどバランスをとれる位置を探す。
②2秒かけて肘を曲げ、始めの姿勢から頭の高さが半分の位置で1秒間キープする。
③2秒かけて肘を伸ばし始めの姿勢に戻る。
④もう一方の手で同様に実施する。
使わない方の手の位置は左の写真のように背中に回すと危険です。右の写真のようにバランスが取れる位置で、かつすぐ手を出せる位置が安全です。
始めの姿勢をとるだけでもかなりの難易度です。足を閉じたままだとバランスをとるのが精一杯で、私も体を下ろすことはまだできません。
足を開いてバランスをとれる姿勢で実施できるようになってから、段階的に足を閉じる方法を推奨します。
落下して頸椎を損傷しないよう、十分に注意して行ってください。
ワンハンドスタンドプッシュアップ
①壁から約30cm離れた位置に片手をつき足を蹴り上げてハンドスタンドの姿勢をとる。頭を手の真上にしたり、足の位置を左右にずらすなどバランスをとれる位置を探す。
②2秒かけて肘を曲げ、頭がマットか指先に触れるギリギリの位置で1秒間キープする。
③2秒かけて肘を伸ばし始めの姿勢に戻る。
④もう一方の手で同様に実施する。
トレーニングの進め方
まずはハンドスタンド2分間を目標とします。初心者にとってはかなり厳しいと思いますが、ローテーターカフをしっかり鍛えるためにも我慢をして時間をかけましょう。
ローテーターカフを鍛えるためには時間がかかるので、ここまでは腕立て伏せの種目を並行して行うことをお勧めします。
2分間のハンドスタンドができるようになったら、ハンドスタンドプッシュアップに進みますが、この段階で腕立て伏せのトレーニングにおいてアンイーブンプッシュアップまで進んでいることが条件です。【参考】自重系トレーニング腕立て伏せのやり方
それほどケガをしやすく、慎重に取り組むべき種目です。
ハンドスタンドプッシュアップからは、正しいフォームで10回を3セット、セット間の休憩を3分程度を目標とします。
できるようになったら難易度の高い種目へと段階的に進んでいきます。
さらに詳しく目的別の実施回数を知りたい人は【参考】筋トレで効果が出る1セットの回数や負荷の大きさとは?を参考にしてください。
最終目標であるワンハンドスタンドプッシュアップ(片手逆立ち腕立て伏せ)は全体重を完全に片手で、しかもバランスをとりながら持ち上げるため、ワンハンドプッシュアップ(片手腕立て伏せ)より難易度が高く、相当な時間がかかる種目だと思います。
2023年6月時点で、ユーチューブで調べてみてもワンハンドスタンドプッシュアップをしっかりとやっている動画は存在しません。
将来に渡って機能的な体を維持することが一番の目的なので、ケガをしないように腱や関節をゆっくりと鍛えながら、「一生をかけて達成したい目標」として努力するくらいがいいかもしれません。
また、常に10回がマックスになるよう段階的に取り組んでいけば、筋肥大もセットで手に入れられますので、自重系トレーニングで筋肥大させる方法も参考にしてください。
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