ダイエットに効果的な方法とは食事制限により摂取エネルギーを減らすことと、筋肉量を増やし基礎代謝を上げて消費エネルギーを増やすことです。
今回は、消費エネルギーを増やすには、筋トレが最も効果的であるということについて説明します。
消費エネルギーを増やす方法として、他にもランニングやヨガなどが考えられますが、筋トレが最も優れている理由は次のとおりです。
- 基礎代謝が上がる。
- 消費エネルギーが高い。
最後まで読めば、筋トレによるダイエット効果の高さを理解していただけると思います。
そもそもなぜ太るのか
ダイエットの方法を考える前に、そもそもなぜ太るのか、根本的な原因を考えてみたいと思います。
運動をしなくなったから。ついつい食べすぎてしまうから。甘いものを食べてしまうから。
さまざま理由は考えられそうですが、ではなぜ運動をしないと太るのでしょう?
なぜ食べ過ぎると太るのでしょう?
理由は、消費エネルギーより摂取エネルギーが大きいからです。
当たり前すぎることですが、とても重要なことなのでまとめます。
消費エネルギー > 摂取エネルギー = 太る
消費エネルギー < 摂取エネルギー = 痩せる
消費エネルギー = 摂取エネルギー = 現状維持
つまり、太るか痩せるかは消費エネルギーと摂取エネルギーの関係に尽きます。サウナでいくら汗をかいても、ダイエット食品をいくら食べても痩せることはないのです。
摂取エネルギーと消費エネルギー
では、摂取エネルギーと消費エネルギーとは何でしょう。
摂取エネルギー
摂取エネルギーとは一日に摂取するエネルギー量のことを言います。
摂取エネルギー量は三大栄養素であるタンパク質、脂質、糖質のそれぞれについて、エネルギー換算計算を用いて算定したものの和です。
年齢、体重、身体活動レベル(運動量)、筋肉量などなど、さまざまな要素が関連するため、推定エネルギー必要量は人それぞれ違います。
とはいえ、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」に、年齢と身体活動レベルによる概ねの推定エネルギー必要量が示されていますので、一部抜粋し紹介します。
身体活動レベル(日中の生活における運動量のようなもの)は、低い、普通、高いをそれぞれ、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲとして分類しています。
男性 | 女性 | |||||
Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ | Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ | |
18〜29(歳) | 2,300 | 2,650 | 3,050 | 1,700 | 2,000 | 2,300 |
30〜39(歳) | 2,300 | 2,700 | 3,050 | 1,750 | 2,050 | 2,350 |
乱暴な言い方をすれば、この推定エネルギー必要量を超える摂取エネルギーであれば、太るということです。
参考までに、厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準2020」のリンクを貼っておきます。推定エネルギー必要量はP84を参考にしてください。
【参考】日本人の食事摂取基準2020(各論エネルギー)P84参照
と、ここまで摂取エネルギーについて説明してきましたが、糖質と脂質で同じエネルギーであっても糖質が太るという研究もあり、摂取エネルギーという考え方自体に疑問符がつけられていることも事実です。
これは、糖質により中性脂肪が蓄えられるためであったり、他の栄養素との関係もあったり複雑で簡単に数値で表されるものではないのかもしれません。
ただ今回は消費エネルギーを増やすという視点で考えているため、この問題については影響ないと考えます。
消費エネルギー
一方で消費エネルギーとは、一日の消費エネルギー量のことであり、基礎代謝、食後の熱産生、身体活動の3つに分類されます。
さらに身体活動は、意図的に行う運動、日常の生活活動、自発的活動(姿勢の維持など)に分類されます。
総エネルギー量に対する各エネルギー消費量は、基礎代謝約60%、食後の熱産生約10%、身体活動約30%です。
見ての通り、基礎代謝によるエネルギー消費が6割と最も高く、とても重要であることが分かります。
さらに基礎代謝量の割合を細かく見ると、骨格筋22%、肝臓21%、脳20%となっており、骨格筋が最も多くのエネルギーを消費します。
基礎代謝量は20〜49歳男性で、概ね1,530kcal/日とされていますので、単純計算で
1,530✕0.22=336.6kcal/日
が骨格筋による基礎代謝量となります。
ちなみに骨格筋とは、筋力トレーニングによって鍛えられる一般的な筋肉と呼ぶものにあたります。
筋トレによるダイエット効果
基礎代謝が上がる
では、骨格筋量の増加と基礎代謝との関係はどうなっているのでしょう。
近畿大学が2009年に行なったトレーニング実験によると、除脂肪量(筋肉量)1kgの増加につき基礎代謝量が約50kcal増加したとの結果が出ています。
実験は、19〜22歳の男性を対象に全身の筋トレ(スロートレーニング)を週2回の頻度で3ヶ月間実施し、基礎代謝量の変化を調べました。
その結果、3ヶ月後に除脂肪量が約2kg増加し、基礎代謝量が約100kcalアップしたとの内容です。
骨格筋が1kg増えれば、消費エネルギーが50kcal増えると言われると、「なんだそんなものか」と感じるかもしれませんが、重要なことは何もしなくても、毎日50kcal多く消費されるということです。
消費エネルギーが高い
筋トレによる消費エネルギーは、METsというものを使って計算します。
METsとは、「Metabolic Equivalents」の略で、運動強度を測定した単位です。
安静時を 1 METs としたときに、その何倍のエネルギーを消費するかで運動の強度を示しており、計算式は次のとおりです。
消費エネルギー = METs × 体重(kg) × 時間 × 1.05
低負荷の腕立て伏せなどの自重系トレーニングだと 3.8 METs
ウエイトを使った高重量トレーニングだと 6.0 METs
とされているので、仮に体重60kgの人が1時間それぞれのトレーニングをしたと仮定すると
3.8 METs ✕ 60 kg ✕ 1 時間 ✕ 1.05 = 239.4 kcal
6.0 METs ✕ 60 kg ✕ 1 時間 ✕ 1.05 = 378 kcal
が消費エネルギーとなります。
筋肉量を増加させ基礎代謝を上げるためには高負荷の筋トレのほうが効果が高いこと、トレーニング自体による消費エネルギーが高いことから、高負荷の筋トレを推奨するため、378kcalという数字を採用することとします。
なお、ウエイトを使わなくても自重系トレーニングでも高負荷の筋トレは十分可能であり、参考【自重系トレーニングの効果とすすめ】の中でその方法について紹介しています。
その他のスポーツによる消費エネルギー
ランニングによる消費エネルギーを計算してみましょう。
体重60 kg の人が、1時間ランニングをしたとすると、METs = 7.0 なので
7.0 METs ✕ 60 kg ✕ 1時間 ✕ 1.05 = 441 Kcal
つまり、体重60kgの人が1時間ランニングすれば、441kcal消費するという計算になります。
筋トレとその他のスポーツとの比較
体重60kgの人が1時間トレーニングをしたときに、筋トレでは378kcal、ランニングでは441kcalの消費カロリーとなりました。
では、ランニングのほうが効果が高いのでは?と考えてしまうかもしれませんが、ここでポイントとなるのが基礎代謝です。
例えば、1週間に2回のトレーニングをすると仮定します。
1週間の消費エネルギーを比較すると、
筋トレ:378 kcal + 378 kcal = 756 kcal
ランニング:441 kcal + 441 kcal = 882 kcal
となり、はじめのうちはランニングの方が126kcal消費エネルギーが高く、効果が高いと感じるかもしれません。
ただ、1ヶ月半後、筋トレにより筋肉量が1kg増えたらどうなるでしょう。筋肉量が1kg増えると、基礎代謝が50kcal増えることを計算に入れます。
筋トレ:378 kcal + 378 kcal + 50 kcal ✕ 7日 = 1106 kcal
ランニング:441 kcal + 441 kcal = 882 kcal
となり、筋トレの方が224kcal消費エネルギーが高くなります。
筋トレを継続し、更に筋肉量が増えていけば、その分だけ基礎代謝が上がり消費エネルギーはどんどん増えていきます。
トレーニングをしていない時間にエネルギーを消費する基礎代謝の存在が、いかに大きいか実感していただけると思います。
まとめ
消費エネルギーを増やしてダイエットするという方法を考えるとき、基礎代謝を上げることが非常に重要です。
そのために最も効果が高い方法が筋トレです。
ぜひ筋力アップの筋トレに取り組み、基礎代謝を上げ、効率的なダイエットに挑戦してみてください。
筋肥大を目的とした筋トレについても別の記事で紹介していますので、参考にしてください。【参考】自重系トレーニングで筋肥大させる方法
コメント